建設業者の皆様は、専任技術者や主任技術者、監理技術者等、様々な技術者の名前を耳にすることかと思います。当ページでは、一般建設業許可の専任技術者にフォーカスして、必要な資格・大阪の建設業許可申請の際に実際に必要な書類の解説を行っています。

建設業許可申請の際の重要な要件であるこの専任技術者。許可申請の時だけではなく建設業者の営業所には適切な専任技術者の配置が求められますので、しっかりと専任技術者の意義を理解しましょう!

専任技術者の役割


建設工事は複雑であり、各種技術や知識が必要で技術力の担保が必要であることから、専任技術者は各営業所(許可業種毎)の配置が必要になります。

工法の検討や発注者への技術的な説明、建設工事の見積り、入札、請負契約等が適正に行われるようにサポートし、現場に出る技術者に対し適正な建設工事の施工を行えるように指導監督を行います。

このような事から、専任技術者になる為には一定の要件が定められています。
この要件は、一般建設業許可と特定建設業許可で異なります。

なお、この専任技術者は建設業許可を取得する業種毎に1人づつ必要なわけではなく、要件さえクリアしていれば、複数業種の専任技術者となることができます。

例:大阪建設業許可㈱が新しく建築一式と内装仕上げの許可を取りたい

技術者Aが在籍技術者Aは1級建築士の資格保有者

1級建築士は建築一式と内装仕上工事の専任技術者になることができるので、大阪建設業許可㈱は技術者Aを専任技術者とすることで要件をクリアすることができます。

一般建設業許可の専任技術者の要件

一般建設業許可の専任技術者になるには?
  1. 学校卒業+一定の実務経験
    ・高卒(所定学科)5年以上
    ・大卒(所定学科)3年以上
    例:土木工事=土木工学科
     :建築工事=建築学科
     :電気工事=電気工学科
  2. 10年以上の実務経験
  3. 国家資格者等
    例:1級・2級建築施工管理技士
     :1級・2級土木施工管理技士
     :1級・2級電気工事施工管理技士

専任技術者になるには、以上いずれかのパターンに該当する必要があります。
建設業許可申請の際には、専任技術者に上記の資格や実務経験があるという事を「書面」で証明していく必要があります。

建設業許可に必要な専任技術者の資格まとめ

専任技術者の資格(上記表の➌のパターン)についてみていきましょう。以下業種ごとにまとめています。

土木一式工事の資格

区分 資格
建設業法「技術検定」 一級建設機械施工技士
二級建設機械施工技士(第一種~第六種)
一級土木施工管理技士
二級土木施工管理技士(土木)
技術士法「技術士試験」 建設総合技術監理(建設)
建設「鋼構造及びコンクリート」総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
農業「農業土木」・総合技術監理(農業「農業土木」)一級建設機械施工技士
水産「水産土木」・総合技術監理(水産「水産土木」)
森林「森林土木」・総合技術監理(林業「森林土木」)

建築一式工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(建築)
建築士法「建築士試験」 一級建築士
二級建築士

大工工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(く体)
二級建築施工管理技士(仕上げ)
建築士法「建築士試験」 一級建築士
二級建築士
木造建築士
職業能力開発促進法「技能検定」 建築大工
型枠施工
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録型枠基幹技能者
登録建築大工基幹技能者

左官工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(仕上げ)
職業能力開発促進法「技能検定」 左官
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録左官基幹技能者
登録外壁仕上基幹技能者

とび・土工・コンクリート工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建設機械施工技士
二級建設機械施工技士(第一種~第六種)
一級土木施工管理技士
二級土木施工管理技士(土木)
二級土木施工管理技士(薬液注入)
一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(く体)
技術士法「技術士試験」 建設総合技術監理(建設)
建設「鋼構造及びコンクリート」総合技術監理
(建設「鋼構造及びコンクリート」)
農業「農業土木」総合技術監理
(農業「農業土木」)
水産「水産土木」総合技術監理
(水産「水産土木」)
森林「森林土木」総合技術監理
(森林「森林土木」)
民間資格 認定証明書 地すべり防止工事士
(登録後1年以上の実務経験)
職業能力開発促進法「技能検定」 ウェルポイント施工
*実務経験は土工工事に関するものに限る
型枠施工
とび・とび工・コンクリート圧送施工
*検定職種「とび・とび工」の実務経験はとび工事に関するもの、「コンクリート圧送施工」の実務経験はコンクリート工事に関するものに限る
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録橋梁基幹技能者
登録コンクリート圧送基幹技能者
登録トンネル基幹技能者
登録機械土工基幹技能者
登録プレストレスト・コンクリート工事基幹技能者
登録鳶・土工基幹技能者
登録切断穿孔基幹技能者
登録エクステリア基幹技能者
登録グラウト基幹技能者
登録運動施設基幹技能者
登録基礎工基幹技能者
登録標識・路面標示基幹技能者

石工事の資格

建設業法「技術検定」 一級土木施工管理技士
二級土木施工管理技士(土木)
一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(仕上げ)
職業能力開発促進法「技能検定」 ブロック建築・ブロック建築工・コンクリート積みブロック施工
石工・石材施工・石積み
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録エクステリア基幹技能者

屋根工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(仕上げ)
建築士法「建築士試験」 一級建築士
二級建築士
職業能力開発促進法「技能検定」 建築板金(選択科目「ダクト板金作業」)
板金(選択科目「建築板金作業」)
建築板金(選択科目「内外装板金作業」)
板金工(選択科目「建築板金作業」)
かわらぶき・スレート施工
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録建築板金基幹技能者

電気工事の資格

建設業法「技術検定」 一級電気工事施工管理技士
二級電気工事施工管理技士
技術士法「技術士試験」 建設総合技術監理(建設)
建設「鋼構造及びコンクリート」
総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
電気電子総合技術監理(電気電子)
電気工事士法「電気工事士試験」 第一種電気工事士
第二種電気工事士
(免許交付後、3年以上の実務経験が必要)
*旧電気工事士法による従来の電気工事士免状は第二種電気工事士免状とみなされる。
電気事業法「電気主任技術者国家試験等」 電気主任技術者 一種・二種・三種
(免許交付後、5年以上の実務経験が必要)
民間資格 建築設備士
(資格取得後、1年以上の実務経験が必要)
一級計装士(合格後、1年以上の実務経験が必要)
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録電気工事基幹技能者

管工事の資格

建設業法「技術検定」 一級管工事施工管理技士
二級管工事施工管理技士
技術士法「技術士試験」 機械「流体工学」又は「熱工学」総合技術監理(機械「流体工学」又は「熱工学」)
上下水道総合技術監理(上下水道)
上下水道「上水道及び工業用水道」総合技術監理(上下水道「上水道及び工業用水道」)
衛生工学総合技術監理(衛生工学)
衛生工学「水質管理」総合技術監理(衛生工学「水質管理」)
衛生工学「廃棄物管理(平成15年以前の科目名は「廃棄物処理」)」又は「汚物処理」総合技術監理(衛生工学「廃棄物管理(平成15年以前の科目名は「廃棄物処理」」)
民間資格 建築設備士
(資格取得後、1年以上の実務経験が必要)
一級計装士(合格後、1年以上の実務経験が必要)
水道法「給水装置工事主任技術者試験」 給水装置工事主任技術者
(免状交付後、1年以上の実務経験)
職業能力開発促進法「技能検定」 空気調和設備配管・冷凍空気調和機器施工
給排水衛生設備配管
配管(選択科目「建築配管作業」)・配管工
建築板金(選択科目「ダクト板金作業」)
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録配管基幹技能者
登録ダクト基幹技能者
登録冷凍空調基幹技能者

タイル・れんが・ブロック工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(く体)
二級建築施工管理技士(仕上げ)
建築士法「建築士試験」 一級建築士
二級建築士
職業能力開発促進法「技能検定」 タイル張り、タイル張り工

築炉・築炉工・れんが積み

ブロック建築・ブロック建築工・コンクリート積みブロック施工
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録エクステリア基幹技能者
登録タイル張り基幹技能者

鋼構造物工事の資格

建設業法「技術検定」 一級土木施工管理技士
二級土木施工管理技士(土木)
一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(く体)
建築士法「建築士試験」 一級建築士
技術士法「技術士試験」 建設「鋼構造及びコンクリート」
総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
職業能力開発促進法「技能検定」 鉄工(選択科目「製罐作業」または、「構造物鉄工」)・製罐
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録橋梁基幹技能者

鉄筋工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(く体)
職業能力開発促進法「技能検定」 鉄筋組立て・鉄筋施工
*鉄筋施工は選択科目「鉄筋施工図作成作業」及び「鉄筋組立て作業」に合格したもののみ。
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録プレストレスト・コンクリート工事基幹技能者
登録鉄筋基幹技能者
登録圧接基幹技能者

ほ装工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建設機械施工技士
二級建設機械施工技士
(第一種~第六種)
一級土木施工管理技士
二級土木施工管理技士(土木)
技術士法「技術士試験」 建設総合技術監理(建設)
建設「鋼構造及びコンクリート」総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録運動施設基幹技能者

しゅんせつ工事の資格

建設業法「技術検定」 一級土木施工管理技士
二級土木施工管理技士(土木)
技術士法「技術士試験」 建設総合技術監理(建設)
建設「鋼構造及びコンクリート」総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
水産「水産土木」総合技術監理(水産「水産土木」)
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録海上起重基幹技能者

板金工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(仕上げ)
職業能力開発促進法
「技能検定」
建築板金(選択科目「ダクト板金作業」)
工場板金
板金(選択科目「建築板金作業」)
建築板金(選択科目「内外装板金作業」)
板金工(選択科目「建築板金作業」)
板金・板金工・打出し板金
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録建築板金基幹技能者

ガラス工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(仕上げ)
職業能力開発促進法「技能検定」 ガラス施工
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録硝子工事基幹技能者

塗装工事の資格

建設業法「技術検定」 一級土木施工管理技士
二級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)
一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(仕上げ)
職業能力開発促進法「技能検定」 路面標示施工
*等級区分はなく実務経験不要
塗装・木工塗装・木工塗装工
建築塗装・建築塗装工
金属塗装・金属塗装工
噴霧塗装
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録建設塗装基幹技能者
登録外壁仕上基幹技能者
登録標識・路面標示基幹技能者

防水工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(仕上げ)
職業能力開発促進法「技能検定」 防水施工
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録防水基幹技能者
登録外壁仕上基幹技能者

内装仕上工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(仕上げ)
建築士法「建築士試験」 一級建築士
二級建築士
職業能力開発促進法「技能検定」 畳製作・畳工
表具・表具工・表装・内装仕上げ施工・カーテン施工・天井仕上げ施工・床仕上げ施工
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録内装仕上工事基幹技能者

機械器具設置工事の資格

技術士法「技術士試験」 機械総合技術監理(機械)
機械「流体工学」又は「熱工学」総合技術監理(機械「流体工学」又は「熱工学」)

熱絶縁工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(仕上げ)
職業能力開発促進法「技能検定」 熱絶縁施工
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録保温保冷基幹技能者

電気通信工事の資格

建設業法「技術検定」 一級電気通信工事施工管理技士
二級電気通信工事施工管理技士
技術士法「技術士試験」 電気電子総合技術監理(電気電子)
電気通信事業法「電気通信主任技術者」 電気通信主任技術者
(合格後5年以上の実務経験が必要)
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録電気工事基幹技能者

造園工事の資格

建設業法「技術検定」 一級造園施工管理技士
二級造園施工管理技士
技術士法「技術士試験」 建設総合技術監理(建設)
建設「鋼構造及びコンクリート」総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」)
森林「林業」総合技術監理(森林「林業」)
森林「森林土木」総合技術監理(森林「森林土木」)
職業能力開発促進法「技能検定」 造園
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録造園基幹技能者
登録運動施設基幹技能者

さく井工事の資格

技術士法「技術士試験」 上下水道「上水道及び工業用水道」総合技術監理(上下水道「上水道及び工業用水道」)
民間資格 地すべり防止工事士
(登録後1年以上の実務経験)
職業能力開発促進法「技能検定」 さく井

建具工事の資格

建設業法「技術検定」 一級建築施工管理技士
二級建築施工管理技士(仕上げ)
職業能力開発促進法「技能検定」 建具製作・建具工・木工・(選択科目「建具製作作業」)・カーテンウォール施工・サッシ施工
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録サッシ・カーテンウォール基幹技能者

水道施設工事の資格

建設業法「技術検定」 一級土木施工管理技士
二級土木施工管理技士(土木)
技術士法「技術士試験」 上下水道総合技術監理(上下水道)
上下水道「上水道及び工業用水道」総合技術監理(上下水道「上水道及び工業用水道」)
衛生工学「水質管理」総合技術監理(衛生工学「水質管理」)
衛生工学「廃棄物管理(平成15年以前の科目名は「廃棄物処理」)」又は「汚物処理」総合技術監理(衛生工学「廃棄物管理(平成15年以前の科目名は「廃棄物処理」」)

消防施設工事の資格

消防法「消防設備士試験」 甲種消防設備士
乙種消防設備士
国土交通大臣が認める登録基幹技能者 登録消火設備基幹技能者

清掃施設工事の資格

技術士法「技術士試験」 衛生工学「廃棄物管理(平成15年以前の科目名は「廃棄物処理」)」又は「汚物処理」総合技術監理(衛生工学「廃棄物管理(平成15年以前の科目名は「廃棄物処理」」)

解体工事の資格

建設業法「技術検定」 一級土木施工管理技士
(平成27年度までの合格者に対しては、解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要)
二級土木施工管理技士(土木)
(平成27年度までの合格者に対しては、解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要)
一級建築施工管理技士
(平成27年度までの合格者に対しては、解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要)
二級建築施工管理技士(建築)
(平成27年度までの合格者に対しては、解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要)
二級建築施工管理技士(躯体)
(平成27年度までの合格者に対しては、解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要)
技術士法「技術士試験」 建設総合技術監理(建設)
(当面の間、解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要)
建設リサイクル法「登録試験」 解体工事施工技士
職業能力開発促進法「技能検定」 とび・とび工

上記の資格をもっていれば、建設業許可申請の際に専任技術者となることができます。(一部実務経験が必要な場合があります)

それでは、次に❶のパターン学歴(学科)+実務経験についてみていきましょう。

専任技術者の学歴(指定学科)まとめ

土木工事業
舗装工事業
土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。以下この表において同じ。)、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科
建築工事業
大工工事業
ガラス工事業
内装仕上工事業
建築学又は都市工学に関する学科
左官工事業
とび・土工工事業
石工事業
屋根工事業
タイル・れんが・ブロック工事業
塗装工事業
土木工学又は建築学に関する学科
電気工事業
電気通信工事業
電気工学又は電気通信工学に関する学科
管工事業
水道施設工事業
清掃施設工事業
土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学に関する学科
鋼構造物工事業
鉄筋工事業
土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
しゅんせつ工事業 土木工学又は機械工学に関する学科
板金工事業 建築学又は機械工学に関する学科
防水工事業 土木工学又は建築学に関する学科
機械器具設置工事業
消防施設工事業
建築学、機械工学又は電気工学に関する学科
熱絶縁工事業 土木工学、建築学又は機械工学に関する学科
造園工事業 土木工学、建築学、都市工学又は林学に関する学科
さく井工事業 土木工学、鉱山学、機械工学又は衛生工学に関する学科
建具工事業 建築学又は機械工学に関する学科
解体工事業 土木工学又は建築学に関する学科

上記の学科を卒業ご、高校卒なら5年・大学卒なら3年の実務経験が必要になります。

実務経験のみで専任技術者になる場合

資格や学歴もない場合、専任技術者になるには10年の実務経験が必要になります。
上記の表の➋のパターンです。

10年と聞くとかなり大変なように聞こえますが、実際に弊所のお客様でもこの10年間の実務経験で建設業許可申請を行うケースは実は多いです。

よく勘違いされがちなのが、今の会社(個人事業主の方なら独立後)で10年間の経験が必要という事ではなく、あくまで過去の工事の実績を全てカウントするという点です。

ちなみにこの実務経験は建設業許可申請を行う業種毎に考えます。
では、そもそも実務経験とはどのようなことを言うのでしょうか?

専任技術者に必要な実務経験とは?

具体的な実務経験とは、「建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験」のことを言います。
建設会社で働いていても資材を運んでいるだけ、というような雑務を行っているだけでは実務経験にはなりません。

実務経験として認められるのは以下のような場合です。

実務経験の例
  1. 設計技術者として設計にかかわっている
  2. 現場監督として監督業務に従事した
  3. 現場で職人として働いていた

専任技術者の実務経験年数の計算方法を実例で解説

それでは、専任技術者の経験年数の考え方について、実例を交えながら見ていきましょう。

電気工事業の建設業許可が欲しい!

例1

過去に勤めていた建設会社A 2000年から電気工事を5年経験
独立して大阪電気を開業(個人事業主) 2005年から電気工事を5年経験

5年+5年=合計10年というように経験年数を合算することができます。
このケースでは電気工事業に関して10年の実務経験が認められます。

例2

過去に勤めていた建設会社B2000年から管工事を5年経験
独立して大阪電気を開業2005年から電気工事を5年経験

このケースでは、工事の経験年数だけで見れば10年にはなりますが…。
電気工事と管工事という異なる業種での経験になりますので電気工事の専任技術者になることができません。

例3

過去に勤めていた建設会社C1995年から電気工事を5年経験
過去に勤めていた建設会社B2000年から管工事を5年経験
独立して大阪電気を開業2005年から電気工事を5年経験

このケースでは、電気工事の経験が飛び飛びになっていますが、このような場合でも建設会社Cと独立後の経験を合算して10年とすることができます。

電気工事業と管工事業の建設業許可が欲しい!

例1

過去に勤めていた建設会社B1997年から2000年まで管工事を3年経験
独立して大阪エンジニアリング㈱を設立2000年から2010年まで管工事と電気工事を10年経験

この場合は管工事の建設業許可は取得できません。経験年数は異なる2業種の経験期間が重複する場合はどちらかの業種しかカウントできないのです。

例2

過去に勤めていた建設会社A1990年から2000年まで管工事を10年経験
独立して大阪エンジニアリング㈱を設立2000年から2010年まで管工事と電気工事を10年経験

このように2業種の経験が重複せず10年づつあれば、2業種の専任技術者となることができます。

いかがでしたでしょうか?

この専任技術者がいなければ、建設業許可申請を行うことができませんので、許可を検討の際はこの要件を満たせる人が社内にいるかどうかを事前に確認しましょう。

専任技術者の必要書類 大阪府編

さて、建設業許可申請の際はこの専任技術者としての資格・経験がありますよ!ということを書面で証明していく必要があります。

ここからは、大阪府の場合の証明書類の解説を行ってまいります。
この証明書類は大きく分けると「資格だけでOK」「実務経験が必要」どちらかのケースに分類し、実務経験が必要な場合は更に技術者の資格や経験により様々なパターンに細分化されます。

大阪で建設業許可申請をおこなう業者様は参考にしてみて下さい。

専任技術者になれる資格がある場合

このケースはシンプルかつ簡単です。
その資格を証明できる免状等があれば証明書類としてOKです。

専任技術者 資格

実務経験が必要な場合

それでは次に実務経験が必要な場合の証明書類を見ていきましょう!

実務経験証明書

この実務経験証明書に専任技術者の過去の経験を記載していきます。
ここに記載した経験(工事)をしましたよ!ということを以下書類で証明していきます。

工事の実績を証明する書類

工事の契約書・注文書・請求書・内訳書等

弊所の経験則では請求書で証明していくパターンが多いです。
この各種書類には以下の項目が記載されていることが必要です。

  1. 工期=2010/1/1~2010/1/15
  2. 工事名=Aビル電気設備工事
  3. 工事内容=AC電源設置工事
  4. 請負金額=300万円

この4項目をもって、実務経験証明書に記載された内容と実際の実務経験に齟齬がないかの確認を行います。

工事と工事の期間が12か月以上あかなければ、連続した経験としてカウント可能です!

2000/8の工事→2001/8月の工事→2002/8月の工事
このような場合はOKですが…。

2000/8の工事→2001/9月の工事→2002/10の工事
このような場合は連続した経験としてカウントできません。

過去に建設会社で専任技術者となっていたことがある場合

以前の勤務先の建設会社等で専任技術者となっている場合はその経験をもって専任技術者となることができます。過去に行政が経験を認めているわけですから、ここは経験を認められて当然ですね!

  1. 建設業許可申請書の一部(受付印のある表紙及び実務経験証明書(様式第9号))
  2. 変更届出の一部(受付印のある表紙若しくは完了通知のはがき及び実務経験証明書(様式第9号))

上記2パターンの書類のいずれかが必要になります。

前勤務先での経験の場合、この書類は以前の勤務先にお願いして入手しないといけない書類です。喧嘩別れをしていたり、関係性が良くない場合等は、書類の提出に協力してもらえない可能性もあります…。退職する場合は良い形で退職したいものですね。

建設業許可がある業者で働いていた場合(専任技術者にはなっていなかった)

こちらのパターンは過去に建設業許可業者で働いていた場合の証明書類です。
以下のいずれかの書類が必要になります。

  1. 過去に建設業許可申請書の一部(受付印のある表紙及び証明を受ける技術者の実務経験の期間が過去に証明を受けていた者の実務経験の期間を含む実務経験証明書(様式第9号))
  2. 変更届の一部(受付印のある表紙若しくは完了通知のはがき及び証明を受ける技術者の実務経験の期間が過去に証明を受けていた者の実務経験の期間を含む実務経験証明書(様式第9号))
  3. 決算変更届の一部(受付印のある表紙若しくは完了通知のはがき及び実務経験年数の証明期間に相当する工事経歴書(様式第2号))

❶➋は少し特殊な場合で、このパターンで証明することはまれなケースです。
少し専門的な話ですが、過去に勤めていた建設業者には必ず専任技術者がいます。
役所にはその専任技術者の経験を提出していますが、その役所に提出した専任技術者の経験(工事)に従事していた場合に、その経験を認めようという事です。

メインとなるのは➌のパターンです。
建設業許可業者は毎年決算が終わると決算変更届(決算報告)を役所に提出する必要があります。
その決算変更届の際に、その年にどのような工事を行ったか?がわかる工事経歴書を提出します。
この工事経歴書に記載されている工事を経験として認めようというものです。

❶➋のパターンは経験(工事)、期間がかなり限定的となる為あまりこちらのパターンを活用することはありません。

経験期間の在籍の証明書類

今までは、経験の証明書類でしたが、以下は本当にその業者に勤めていましたか?という在籍を証明するための書類です。

自分の経験を自分で証明する場合(例:一人親方で自分で行った工事の経験を証明)や、過去に建設業者から証明を受けている場合は、以下の書類は原則不要です。

以下のいずれかの書類が必要です。

  1. (年金の)被保険者記録照会回答票
  2. 雇用保険被保険者証(申請時点において継続して雇用されている場合)
  3. 雇用保険被保険者離職票(申請時点において離職している場合)
  4. 証明者が個人事業主の場合は、証明者の所得税の確定申告書のうち、税務署の受付印のある第一表+専従者給与欄又は給与支払者欄に内訳・氏名の記載がある書類
  5. 証明者の印鑑証明書(3か月以内のもの)

弊所のおすすめは❶の被保険者記録照会回答票です。これは年金事務所に請求すれば比較的容易に入手することができます。

インターネットで被保険者記録照会回答票の取得する方法

如何でしたでしょうか?建設業許可申請にあたり、専任技術者重要な要件の一つです。
弊所では大阪の建設業許可申請を代行しております。

相談無料ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。